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質量検出器を利用した材料品質管理のためのソリューション

歩留まりの向上と不良品の削減は、収益性とブランドイメージの両方を高めます。そのため、開発および製造段階において、重要となる要因を分析、認識し、コントロールすることが不可欠です。品質の製品を達成するためには、使用される分析技術に対する要望がますます厳しくなり、そしてより高い感度が要求されます。このような分析の傾向は、品質管理にも当てはまります。管理する要因を正確かつ確実に分析できる技術を採用することによって、設計通りの品質における製品の安定出荷を改善することができます。

液体クロマトグラフィー (LC) を用いた有機材料の分析

HPLC を用いた合成高分子中の添加剤や有機材料中の不純物の分析では、材料中の濃度が比較的高く、かつ発色団を有する化合物が多いことから、UV 検出器や PDA 検出器が汎用的に用いられてきました。

近年では、先端材料の多様化と高度化に伴い、新規化合物や類似構造化合物の利用が拡大し、許容される不純物濃度が低くなっています。これは開発段階や製造段階で、高品質材料を高い歩留まりで生産することに重点が置かれているためであり、これに伴い、より高度な分析とより高い感度が要求されています。このように多種多様な化合物が用いられる材料分析では、次のことを提供する分析システムが必要です。

  1. 分析法の汎用性:幅広い LC 条件に対応
  2. クロマトグラフィーの分離能:同じ発色団を持つ類縁物質の分離
  3. 検出器の選択性:共溶出成分の分離
  4. 検出器の感度:極微量の不純物の検出

使いやすい質量検出器

複雑で低濃度化する材料分析に対応するため、光学検出器よりも高い選択性と感度を持つ質量分析計を併用することができます。質量分析計はイオン化された成分を質量電荷比単位で分離および検出する検出器であり、質量に基づく分離や、発色団を持たない化合物の検出、そして高い選択性による高感度な検出が可能です。質量分析計は光学検出器を置き換えることができ、または UV/PDA と組み合わせて使用することができます。これにより、メンテナンスや操作性の観点からだけではなく、実行されるメソッドにも柔軟性がもたらされます。ACQUITY QDa 検出器は、光学検出器ユーザーに向けて設計された四重極型質量検出器であり、メンテナンス性も操作性も光学検出器と類似している質量検出器です。さらに、拡張溶媒互換性キット(ESC キット)を追加すれば、有機材料分析の移動相として広く使用されているテトラヒドロフラン (THF) などの強い有機溶媒も QDa 検出器で使用することができます。ACQUITY QDa 検出器を用いた有機材料分析における質量分離の有用性を示した 3 つの応用例を紹介します。

分析例 1)  OLED 材料の不純物分析

有機 EL ディスプレイでは、低濃度の不純物が製品の劣化をもたらし、デバイスの寿命を短くするため、材料中で許容できる不純物濃度は 0.001% 程度まで低下しています。例えば、有機 EL 材料を有機溶媒に 1,000 ppm の濃度で溶解させた場合、材料中の 0.001% の不純物は、この溶液中では 10 ppbに相当します。また、不純物は主成分と同じ化学的性質であり、したがって同じ発色団を有することが多く、PDA 検出器での吸収波長は同じで、保持時間が近接するため、PDA クロマトグラムでは分離が困難な場合があります。

図 1 は、SIR (Selected Ion Recording) モードを使用して取得した有機 EL 材料 E709 の不純物の分析例を示しています。市販の OLED 材料の中に、複数の不純物が 0.001 ~ 0.13% の濃度で検出されました。また、移動相として THF を使用することで、クロマトグラフィーの選択性が改善され、異性体を含む不純物が分離可能になります。ACQUITY Arc UHPLC システムによる不純物の分離と、QDa 検出器による高感度質量検出は、OLED 市場における厳しい要件を満たすことができます。

図 1. OLED 材料 E709 中の不純物のクロマトグラム

分析例 2)  合成高分子用添加剤の一斉分析

高分子材料の分野では、高分子材料の開発および品質保証の観点から、添加剤が品質に与える影響を把握することが課題になっています。同じグループの添加剤は類似した基本構造を持ち、同じ吸収波長を持つ多くの添加剤が使用されているため、これらを正確に区別するためには、LC の分離能と検出器の選択性の両方が重要です。また、発色団を含まない添加剤も使用されているため、PDA 検出器と質量分析器を併用することで化合物の同定能が向上します。

図 2 および図 3 は、添加剤の標準試料と、超臨界流体抽出 (SFE) 装置 MV-10 ASFE システムを用いて高分子材料から抽出したサンプルを PDA と QDa (スキャンモード)で分析した例を示しています。

1 種類の高分子材料には多くの種類の添加剤は使用されませんが、類似の添加剤と誤って同定されることを避けるために、高いクロマトグラフィー分離能、再現性、そして選択性を提供するクロマトグラフィーシステムおよび検出器が必要です。さらに、PDA と MS スペクトルの両方を使用することで同定能が改善されます。ACQUITY UPLC H-Class システムと QDa 検出器を使用することで、開発および品質保証における合成高分子用添加剤の問題を解決することができます。

図 2. ポリマー添加剤標準試料の UV およびマスクロマトグラム
例として発色団を持たない添加剤のマスクロマトグラムが示されています。

図 3. ポリマー添加剤標準試料とサンプルの UV クロマトグラム

分析例 3)  高分子ヒンダードアミン光安定化剤(HALS)分析

HALS は耐候性を付与するために近年幅広く使用されている添加剤であり、他の安定剤と併用することで、ポリマーの種類や用途に応じて、光安定化機能をさらに向上させ、ポリマーや用途に応じて他の性能を向上させることもできます。しかし、その高い疎水性のために、高分子材料から高分子 HALS を抽出することは難しく、さらにこの疎水性により逆相カラムと強く作用し、溶出を困難にします。そのため、定量分析法が少ない化合物です。図 4 は HALS 標準品の分析例を示しています。高分子 HALS を溶出できる溶出力の高い移動相を使用しているため、共存している類縁化合物が共溶出されることが予想されます。

ACQUITY QDa 検出器を ACQUITY UPLC H-Class システムと組み合わせることで、高分子 HALS でも、分子量情報に基づいて、分離、同定、定量することができます。

図 4. HALS 高分子添加剤のマスクロマトグラム

従来の検出器に加えて質量検出器を使用することで、製品の品質においてますます重要になっている要因を詳細にコントロールでき、開発から生産までの各段階において利益を化することに役立ちます。

< BEH(エチレン架橋型ハイブリッド)テクノロジーを用いたカラム >

  • ハイブリッドパーティクルテクノロジーの固有の化学的安定性
  • 幅広い pH 範囲で使用可能 [pH 1-12]
  • HPLC、UHPLC、UPLC の粒子径で利用可能 [1.7、2.5、3.5、5、10 µm]

< ACQUITY Arc UHPLC /PDA >

  • UPLC で取得したものと同じクロマトグラムを提供できる HPLC / UHPLC への完全な分析法の移管
  • 4 種類の移動相の混合
  • ピーク純度試験により高精度プロファイルを実現するフォトダイオードアレイ検出器

< ACQUITY UPLC H-Class / PDA >

  • クロマトグラフィーの選択性を広げるため、物理的強度および化学的耐性に優れた UPLC カラム
  • 分析法開発と効率的な不純物分離のための超高速と分離能
  • ピーク純度試験により高精度プロファイルを実現するフォトダイオードアレイ検出器
  • 4 種類の移動相の混合

< ACQUITY QDa 検出器 >

  • 強有機溶媒に適合性のある使いやすいシングル四重極質量検出器
  • 光学検出器と同じ操作で質量情報を取得できる質量検出器
  • 直観的な操作

< Empower 3 ソフトウェア >

  • 純度検定機能および PDA スペクトルマッチング機能
  • カスタマイズされた計算およびレポート機能
  • 全てのオペレーターのための、取得、解析、そしてレポートまでの効率的なワークフロー
  • 規制対応

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