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OLED 材料の不純物プロファイリングと品質管理のためのソリューション

原材料、中間物、および最終製品中の不純物分析と管理は、化学工業における製品の特性、特に微量の不純物の存在を管理する上で重要です。例えば有機化合物では製品の特性、安全性、性能に大きな影響を及ぼすことがあります。未知の不純物を同定できる分析技術は、歩留まりの改善、不適合品の削減、安全性の向上など、工業化学プロセスに多くの利益をもたらします。したがって、迅速な製品開発および品質管理は、主成分と潜在的な低濃度の不純物を、確実かつ再現よく分離、検出、定量できる分析技術を採用することによって改善することができます。

製造プロセス中の不純物分析

化学製品の製造中に、様々な不純物(有機および無機の両方)が混入することがあり、これらの不純物成分はロットによって異なる場合があります。そのため、各ロットにおける主成分の純度と不純物の許容濃度を測定する、製品管理方法が広く用いられています2 つの適切な分析試験法である液体クロマトグラフィー (LC) および質量分析計 (MS) は、多くの産業において、製造時の有機不純物を検出、定量するために日常的に使用されています。
LC および MS で分析することができる有機不純物成分には:

  • 導入される原材料や中間体中の不純物
  • 反応や製造工程におけっる副生成物、分解物
  • 残留モノマー
  • 以前の処理バッチからの残留物質
  • 外部からの汚染物質

OLED 材料の不純物プロファイリング

OLED などの高性能デバイスの市場における成功は、基本的に OLED 製品の個々のコンポーネントを構成する材料の品質に依存する可能性があります。例えば、材料中に含まれる有機不純物は、極微量の濃度で検出されたとしても、製品の劣化を早め、デバイスの寿命を短くしてしまう場合があります。さらに、原材料、合成、精製経路、バッチロットの変動により、材料ごとに不純物の種類が異なることがあるため、有機不純物を高感度に、かつ幅広い化学種にわたって検出できる分析技術が必要です。

OLED 材料の分析では、品質管理のために、UV 検出器および質量分析計を組み合わせた HPLC が、有機不純物の化学成分検出に広く使用されています。これらの不純物はしばしば低濃度で検出されるため、分析法を開発する際には、次の示した実験的側面に注意することが重要です。

– 測定モード:
未知の不純物を検出するため、特定の波長または m/z でモニターするのではなく、幅広い波長および質量範囲をカバーするフルスキャンデータ取得モードを使用する必要があります。不純物成分は未知である場合が多いため、質量分析計の取得モードは、成分を同定する手段として有効です。高分解能執拗分析計を用いる方法は、データベースを用いて化合物の同定を容易にする元素組成を提供できる方法の 1 つです。

– 感度:
材料に対して 0.01% の濃度の不純物を同定する場合、その材料を 100 ppm (0.01%) の濃度で溶媒に溶解すると、不純物の濃度は 10 ppb となります。未知の不純物を同定するためには、フルスキャンモードで数十 ppb レベルの濃度のピークを検出および同定するのに十分な感度の検出限界を有することが必要です。

-データ解析:
不純物プロファイリングは検索がその本質であるため、膨大な量のフルスキャンデータから不純物ピークを抽出し、構造推定を支援する元素組成を提供できるソリューションによる効率的なワークフローが必要となります。

市販 OLED 材料 E709 の不純物プロファイリングの例

– データ取得
主成分に対して極微量の不純物を測定する場合、大過剰の主成分が不純物分離の妨げになる場合があります。低拡散 である UPLC システムと UPLC カラムを使用することで、従来の低分離能 HPLC システムでは達成できなかった不純物の分離が可能になります。

UPLC/SYNAPT G2-Si を用いて、以下の 3 種類のサンプル溶液を分析しました。SYNAPY G2-Si Q Tof システムには、Traveling Waveイオンモビリティー (Traveling Wave ion mobility、TWIM) 分離機能とデュアルコリジョンセルが含まれます。MS/MS データを取得するため、SYNAPT の MSE モードにて測定しました。取得モードを低エネルギースキャンに切り替えてプリカーサーイオンを検出、次に高エネルギースキャンに切り替えて生成するプロダクトイオンを検出します。これらの全てが 1 回の分析で実行されます。

  1. サンプル溶液と比較するためのリファレンスとして使用される溶媒ブランク
  2. 不純物の相対濃度を計算するためのリファレンスとして使用される低濃度サンプル
  3. 不純物の同定と濃度計算に用いられる高濃度サンプル(飽和した主成分は廃液に送られる)

データセットはプリカーサーイオンおよびフラグメントイオンスペクトルを提供する MSE モードで取得されたので、主成分についての情報は不純物の検出と同定の手がかりとなります。

– トータルイオンクロマトグラムからの不純物ピークの抽出
データセットの解析には UNIFI ソフトウェアを使用しました。不純物ピークを抽出するためのいくつかの方法を以下に示します。UNIFI ソフトウェアは、これらの手法によって不純物ピークを抽出するだけでなく、元素組成を用いてデータベース検索を行い、フラグメントマッチを使用して構造解析行います。

  1. 主成分と共通のフラグメントおよびニュートラルロスを持つピークを抽出。MSE モードにて分析したため、すべてのプリカーサーイオンとフラグメントイオンを 1 回の分析で取得しました。この取得データによって、UNIFI ソフトウェアでは、主成分と共通のフラグメントおよびニュートラルロスを持つ不純物ピークの検出が可能です。
  2. バイナリー比較
    あるサンプルと他のサンプルを比較する際、どちらか 1 つのサンプルのみにあるユニークなピークをトータルイオンクロマトグラムから抽出することは容易ではありません。二つのクロマトグラムを比較することは「バイナリー比較」と呼ばれ、あるサンプルを他のサンプルと比較し、ユニークなピークを強調することができます。この原理を説明するために、以下の図ではサンプルと溶媒ブランクを比較し、検出されたサンプルに特有のピークを示しています。
  3. 合成経路から検索
    合計経路が事前に既知である(または提案されている)場合、UNIFI は主成分構造の変化を調べることで、関連する不純物を自動的に検索できます。
  4. 組成と構造の推定
    高分解能質量分析計では、同位体パターンも含めた精密質量に基づく計算によって元素組成が決定されます。
    得られた元素組成はその後、データベース検索(オンラインデータベースおよびローカルで構築されたデータベースの両方)に使用できます。抽出された不純物ピークもまた、適切にアラインされたプリカーサーイオンおよびフラグメントイオン情報を持ち、フラグメントイオンスペクトルから得られるフラグメントマッチは、構造解析の信頼性を高めるために、化学構造に基づいて計算された理論フラグメントパターンと比較できます。
    これらは UNIFI ソフトウェアにて一括で解析されます。

– 不純物の存在量複数の種類の不純物が検出され、構造が推定されました(以下に幾つかの例を紹介)。

不純物の濃度は 0.005% (Imp05)、濃度は 0.127% (Imp06) でした。

研究開発段階において不純物が同定されたら、フォトダイオードアレイ (PDA)や四重極 MS を使用し、QC モニタリングおよび製造プロセス後のルーチン定量分析に適用できます。このように未知の不純物を検出し同定することで、製造プロセスと製品の品質を明確に管理でき、開発から製造までの各段階における利益の化に貢献します。

OLED 不純物プロファイリングのためのシステムソリューション

PDA 検出器と SYNAPT G2-Si を備えた UPLC

  • クロマトグラフィーの選択性を広げるため、物理的強度および化学的耐性に優れた UPLC カラム
  • 分析法開発と効率的な不純物分離のための超高速と分離能
  • ピーク純度試験により高精度プロファイルを実現するフォトダイオードアレイ検出器
  • 安定した精密質量
  • リジットな成分でもフラグメントイオンを効果的に生成できるデュアルコリジョンセル
  • DESI、APGC、ASAP などのユニバーサルなイオンソースに対応
  • 異性体分離とスペクトルクリーンアップに効率的なイオンモビリティー分離
  • TAP フラグメンテーション(MS/MS/MS。フラグメント間のアライメント)
  • 適切にアラインされたプリカーサーイオンとフラグメントイオンスペクトル
  • 元素組成、データベース検索、フラグメントイオンマッチングによるシーケンシャルな解析ワークフロー
  • 主成分と共通のフラグメントおよびニュートラルロスを持つピークを自動的に抽出
  • 予測した反応と官能基の変化に基づいて自動的にピークを抽出

QC における不純物定量のためのシステムソリューション

PDA と ACQUITY QDa を搭載した Alliance HPLC / ACQUITY Arc UHPLC

  • UPLC で取得したものと同じクロマトグラムを提供できる HPLC / UHPLC への完全な分析法の移管
  • 4 種類の溶媒の混合
  • ピーク純度試験により高精度プロファイルを実現するフォトダイオードアレイ検出器
  • 強い有機溶媒に適合性のある使いやすいシングル四重極検出器
  • 光学検出器と同じ操作で質量情報を取得できる質量検出器
  • 直観的な操作
  • 純度検定機能、および  スペクトルマッチング機能に対応するPDA検出器
  • カスタマイズされた計算およびレポート機能
  • 全てのオペレーターのための、取得、解析、そしてレポートまでの効率的なワークフロー
  • 規制対応

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